戸谷 森 Air Pocket   

2007年2月に初個展をしてから、早6年が経つ。その間、毎年のように精力的に個展を開き、グループ展に参加してきた戸谷が、今回は自身の方向性や壁にぶつかって悩み苦しんだ挙句の発表となった。

美術に対して人一倍の情熱を持ち、加えて理論派でもある戸谷は、これまで観念と感情のバランスがどちらかに傾いた作品となって表れてくることが多かった。美大では、彫刻と絵画、両方学んだ経験が画家として、プラスとなるかマイナスとなるか、答えはすぐには出ないだろう。

作家としては、どうしても両刀使いを武器にしたいところだ。
作家はどんなに美術史を学び知識が豊富であったとしても、自分の中で、自身の美術史を作り出さなければ、表現はできないだろうと思う。彫刻の知識と技を習得しても、そのまま絵画の制作に直結するわけでもないし、絵画の歴史を辿ることも重要になってくるので、その分時間もかかる。

平面の中で如何に奥行を出すかが絵画の大きな問題としてあるが、
360度の視点を持つ彫刻的な思考回路を使えばいずれ、道が開ける可能性もあるのではないだろうか・・・。

若さ故の焦りもあるだろうが、余り、周囲を気にせず、思うことを貫いてほしいと思う。

今回、不安の中での展示となったが、結果的に観者の共感を得ることができたようである。

そして何より、自身が制作を続けてゆく決意をしたことが最大の収穫だったのではないだろうか。

T/A

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