小山 穂太郎   ゆ う れ い は  こ こ に  い る。 2

昨年に引き続き1年振りの個展である。
前回は小山の、写真を用いた作品の原点である、雑木林の中の池の風景をインスタレーションで表現したものだったが、今回は2003年、<みちのくアートフェステイバル>で発表した「数百万回の光の打刻」を引きついだ作品といえるだろう。

画廊床面には鏡とアクリル板を重ねて敷き詰め、入口と奥の壁面に鏡を設置。 床の上には黒鉛で表面を覆われた大小2つの直方体が斜めに置かれている薄暗い空間。
 
ストロボによる一瞬の閃光が、空間の中で質量のない異次元の世界に変化させる。 コンピューターで自動制御された断続的な発光によって、観る者は現実と異界の境界線で浮遊感を味わうことになる。
このとき、観る者はここで何が起こるのか、不安と緊張感に襲われ、待っているとなかなか光らず、待ちくたびれて気を抜くと、パッと光る・・・。何だかこちらの心を見透かされているような気分になる。

ここで光は装置としての鏡や漆黒の直方体と、観る者の意識の媒体となっているのではないだろうか。

小山はこの展示の少し前に音楽と美術のコラボレーション展を経険
し、音と光が多くの共通点を持っていることに気付いた。
どちらも「波」であること。物質感のないこと、等。

そう考えると視覚と聴覚の違いで、音も光と同様に美術作品の素材として用いることができるかもしれない。

そして、小山は言う、作品は「完成」ではなく、変化している状態が最も好ましく、「未完成」で良い、と思っている、と。

このことは 作品に対する意識として大変重要だという気がする。

T/A

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