糸数 都  色層ー5

2011年の個展以後、作品を創ること自体に疑問を感じ、悩み苦しんでいた。 もう一度原点に還って模索しつつ、一年半の沈黙を破っての再開である。

搬入時には不安の為、自作を直視出来ず虚ろであったが、いざ始まってみると、自らの負の部分を作品化し表現したことが、予想外に観る人の共感を呼ぶ結果となった。 当然と言えば当然ではあるが、作家にも個人差があり、全てを曝け出すことの恐怖に耐えられない場合もあるだろう。

「絵画」と言って良いのか別の名称があるのか判らないが、糸数のキャンヴァスには何層にも重ねられた色の集積は見て取れるが、画面上には、むしろ、絡まったり、解けたり、飛翔したり、潜ったりの動きが目に飛び込んでくる。 今回はこれまでのように、下地に神経を集中するのではなく、自らの衝動に身を委ねたようである。
糸数作品の魅力は、むしろ絵画という枠組みを外したところにあるのかもしれない。 近代絵画の基本はあるにしても、形式にこだわらない身体性が前面に出ている。 躍動感と潔さが観る者を惹きつけるのだろう。

今後、更なる自身の解放が期待される。

T/A

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