森川美紀 −道に迷った日の記憶

森川は名古屋在住で、これまでVOCA展、愛知県清洲市のビエンナーレ、損保ジャパン選抜展などで賞をとり、着実に作家活動を続けている作家で、’98年に日本橋の画廊で個展をして以来、15年振りの個展となる。

森川の制作はまず「旅から始まる」といっても過言ではないだろう。 インド、ネパールに毎年のように旅をし、日常の自身を客観視する。そして その土地を自らの脚で歩き、自然と文化に触れる中で心に残ったものを基に制作する。

画布に現れた図は殆んどが、実際に見た家や窓飾りなど具体的な形態ではあるが、どこか空に浮いたような、遠い記憶を呼び覚ませるように描かれており、観る者に懐かしさ既視感を抱かせる。

特に斬新な絵を描こうとしているのではないが、人が誰でも持っている普遍的な記憶を、絵画の問題も模索しながら真摯に取り組んでいるところが、心強く感じられる。

T・A

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