小野 皓一  Writing Over Squares on Convex/Concave

小野皓一の久しぶりの個展である。 2005年にこの場所に移転したときに、村岡三郎との2人展をして以来、ここでの発表は休んでいた。

40年程前に当時の東ベルリンに留学した経験から、構築的な作風で知られる。 既に、帰国して30年程になるが、現在も引き続きキャンヴァスに微妙な変化はあるものの、緻密な計算と技術で精巧な画面創りをしている。

西欧では、広い範囲の文化(、学問、思想も含め)が断片的でなく、継続的であることはよく知られているが、若いときにドイツの滞在が長かったこともあり、小野は絵画の問題を長年思考し続けている。それも、西欧の素材を用いてではなく、日本独自のテンペラ技術に顔料から自分で絵の具を創り、パネルも木材から波型の特殊な形態を編み出した。パネル上に凹凸を作り、色彩も濃紺から黒に至る微妙なグラデーションをつけている。 作品の表面の印象は、従って日本伝統芸術の趣があり、硬質な白壁を意識して入念に計算された画面からは、まるで織物のような光沢が感じられる。

しかし、飽くまでも絵画性、奥行の探究であるから、これで完成という訳にはいかないだろう。今後も様々な方法で、「その先」へ進んでいくことになるのだろう。

大変重要な仕事だと思う。

T/A

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