詫摩 昭人ー逃走の線ー

これまで既に公募展での受賞を始め、関西で数多く発表してきた作家だが、学生時代からかなりコンセプチュアルな作品を手がけてきた経緯がある。

ここ数年、「逃走の線」というシリーズで、主に水平線が感じられる風景を一旦画面に描き、絵の具が乾く前に全面を刷毛でこすっていく作業によって浮かび上がる重層的な作品を創っている。

今回は同様の手法で、横長の(324x195cm)大画面の作品となった。3メートルともなると刷毛を5,6個繋ぎ、画布を床に置いて一気にこする。アクションペインテイングのようだ。

完成した作品から見えてくるのは、絵画の問題。水平、垂直、そして奥行。これまでは、下に風景が描かれていることによって奥行が自然に感じられたが、今回は、初めて下絵がない。 幽かに谷間のような、湖のような風景が感じられるのは、観る者の想像力のためか。

問題提起と実験はなされた。  これからどのように深化していくのか期待したい。 

T/A

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