武政 朋子 Anonymaus days

武政朋子の3年振りの個展である。 初個展の過剰なまでの下地作り、白色に煌めくような地に、美しく優しい透明な色彩で描く花や顔など、初々しく清冽な画面で、見る人の心を捕えた絵画。 それ以後は、発表する度毎に美的要素が排除されたいった。  徐々に輪郭がぼやけ、下地に手を加えなくなっていき、今回はなんと、これまでの作品を全て、自らの手で、削り取ってしまったのだ。  作家が自らの作品を消し去るということは、どういうことなのか。 武政は言う、「これまで描いていて、なんだか違うという気がしてきて、最初の1枚をゴシゴシ削っていたら、自分の内面が見えてきて、すごく嫌だけど、どこかで快感も感じた。後は次々と削っていくうちに止まらなくなって全部になった。」と。

私は日頃、作家は40代位までは己のスタイルを確立するのに邁進し、漸くそのスタイルが出来上がって、しばらくすると、自らのスタイルが壁となって、その壁にぶつかって先へ進まなくなり、後戻りするか、更に壁を突き破ってその先の展開ができるか・・・?と、一生模索を続けるのではないか、と思っているのだが、武政は20代後半で、既に自分のスタイルを壊す作業を始めたのだ。 これは大変な作業だし、まさに感動的である。

鑑賞者からは、「以前の作品のほうが良かった。」という声もあったが、若い世代からは十分理解され指示されたようだ。

今後が益々楽しみだし、画廊としても応援していきたいと思っている。

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